2025年5月9日
中小企業の建物費も対象に!新事業進出補助金の最新情報と活用術
はじめに:中小企業の未来を拓く「新事業進出補助金」とは
2025年、新たに創設された「中小企業新事業進出促進補助金」(以下、新事業進出補助金)は、事業再構築補助金の後継制度とも言える存在として注目を集めています。特に、中小企業の新分野進出や新サービス展開において、建物費が対象経費に含まれる点は大きな魅力といえます。
株式会社トウマトータルビジネス(以下、当社)は、経済産業省に認定された「経営革新等支援機関」として、数多くの補助金申請支援実績があります。本記事では、制度の概要、活用例、そして当社の支援体制を解説します。
新事業進出補助金の概要
■ 制度の目的
本補助金は、中小企業の「新事業進出」を促進することで、企業規模の拡大・付加価値向上を通じた生産性向上を図り、賃上げに繋げていくことを目的としています。
製品やサービスの新規性や、新たな市場であること、新規事業が高付加価値事業であるかといった高付加価値化が求められる点が特徴です。
■スケジュール
公募開始:2025年4月22日㈫
申請受付:2025年6月中旬(予定)
応募締切:2025年7月10日㈭ 10時
採択発表:2025年10月頃(予定)
■ 補助率と上限額
• 補助率:1/2以内(一律)
• 補助上限額:最大9,000万円(従業員規模により異なる)

■補助事業の実施期間
交付決定より14ヵ月以内(採択発表日より16ヵ月以内)
■ 対象経費の内容
建物費(建築・改修)、機械装置・システム構築費、技術導入費、外注費
広告宣伝・販売促進費、専門家経費、運搬費 など
建物費も対象になる限られた補助金
従来の補助金制度では、建物費は原則「対象外」とされるケースが多くありました。しかし、新事業進出補助金では、戦略的投資を促進するため、建物費も対象経費に含まれる点が他の補助金との違いです。
その他、補助事業遂行のために必要な、機械装置・システム構築費、運搬費、技術導入費、外注費、専門家経費、広告宣伝費などが対象経費となります。

建物費を補助金でカバーする成功事例
【成功事例①】製造業(大阪市)
• 新事業内容:IoT部品の開発・販売
• 建物費:工場一部改修+電気系統増強
• 結果:補助金採択により、自己負担を抑えてスピーディに設備整備。新分野参入に成功
【成功事例②】飲食業(兵庫県)
• 新事業内容:セントラルキッチンの設置+EC展開
• 建物費:衛生基準を満たすための調理室新築
• 結果:施設整備とネット販売体制を同時に実現。売上高が前年比120%に
補助対象事業の要件は?
以下の要件を満たす3~5年の事業計画に取り組むことが必要です。
① 新事業進出要件
・製品等の新規性:製造する製品、提供する商品・サービス等が新規性を有すること
・市場の新規性:製造する製品、提供する製品・サービスの属する市場が新たな市場であること
・新規事業の売上高:新たな製品の売上高が総売上高の10%以上or付加価値額の15%以上であること
(直近の事業年度売上高が10億円以上、かつ新規事業を行う部門の売上高が3億円以上の場合は、新規事業の売上高が当該事業部門の売上高の10%以上 or 付加価値額の15%以上)
② 付加価値額要件
・付加価値額の年平均成長率が+4.0%以上
③ 賃上げ要件
・1人あたり給与支給総額の年平均成長率が、事業実施都道府県における
最賃の直近5年間の年平均成長率以上 または
給与支給総額の年平均成長率が+2.5%以上
④ 事業場内最賃水準要件
・事業所内最低賃金が地域別最低賃金の+30円以上水準
⑤ ワークライフバランス要件
・次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画の公表
⑥ 金融機関要件
・資金提供元の金融機関等から事業計画の確認を受けていること
⑦ 賃上げ特例要件(返還要件あり)
・補助事業実施期間内に、給与支給総額を年平均+6.0%以上 かつ
補助事業実施期間内に、事業場内最低賃金を年額+50円以上
審査のポイントは?
新事業進出補助金では、以下の審査項目がありこれらを満たす計画の中でも評価が高いものから採択となります。
① 補助対象事業としての適格性
・公募要領の記載要件を満たすか
・目標値の実現可能性が高い事業計画となっているか
② 新事業の新市場性・高付加価値性
・社会における一般的な普及度や認知度が低いものであるか
・高水準の高付加価値化・高価格化を図るものであるか
③ 新規事業の有望度
・継続的に売り上げ・利益を確保でき、参入可能な事業か
・自社に明確な優位性を確立する差別化が可能か
④ 事業の実現性
・事業化の遂行方法、スケジュールや課題解決方法が明確かつ妥当か
・財務状況や体制・経営資源から適切に事業が行えられるか
⑤ 公的補助の必要性
・国が補助する積極的な理由がある事業はより高く評価
・地域やサプライチェーンのイノベーションに貢献し得る事業か
⑥ 政策面
・日本経済の構造転換を促すか
・経済成長・イノベーションを牽引し得るか
⑦ 大規模な賃上げ計画の妥当性
・大規模な賃上げ取組み内容が妥当か
・継続的に利益の増加等を人件費に充当しているか
特に、②新規事業の新市場性・高付加価値性では、補助事業で取り組む新規事業の「新事業性」及び「高付加価値性」についての審査があります。
●新市場性とは、
補助事業で取り組む新規事業により製造又は提供する、製品又は商品若しくはサービスのジャンル・分野の、社会における一般的な普及度や認知度が低いものであるか。
(※ジャンル・分野を区分する際には、製品等の「性能」「サイズ」「素材」「価格帯」「地域性」「業態」「顧客層」 「効果」等の要素は排除したものである必要があります)
●高付加価値性とは、
同一のジャンル・分野の中で、当該新製品等が、高水準の高付加価値化・高価格化を図るものであるか。
といった観点から判断されます。
■補助対象外事業者
特に留意点としては、『従業員が0人の事業者』『2024年3月以降の事業再構築補助金 第12回、第13回採択者』『ものづくり補助金17次、18次の採択者』は対象外事業者となるので気を付ける必要があります。
また採択された場合、補助事業者の義務として『説明会への参加』が必須となります。
不参加の場合は交付不可となるため、注意が必要です。
まとめ:課題解決の手段としての補助金活用を
コロナ禍以降、政府による中小企業向け支援策の一つとして多くの補助金公募がありました。アフターコロナとなる現在においても中小企業を取り巻く環境は、米国トランプ政権による高関税政策、深刻な人材不足と人件費の上昇、倒産・廃業の増加と伴う下請け委託先の減少、インバウンド客増加に伴う取組みと対策、AI活用やDX化の必要性など課題は山積みです。
これら課題解決の一手として事新事業進出補助金を活用することは、中小企業の生産性向上へ寄与するでしょう。
補助金活用に関心がある方、申請条件やルールに不安がある方は、お気軽に当社までご相談ください。